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「疑心 -隠蔽捜査3- 今野 敏 著 新潮文庫」
を読んだ。
米治郎の推薦度 ☆☆☆
これは、面白かった。
堅物で、論理、理性しか信じない警察キャリア官僚の竜崎伸也が、
なんと、後輩の女性警察キャリア官僚に恋してしまうのである。
しかも、その局面は、アメリカ大統領が来日することが決まり、
その警備が始まり、息子の薬物使用という不祥事で、
大森警察署長である竜崎が、本来、第2方面本部長が、
大統領警備の第2方面警部本部長にならなければいけないのに、
第2方面本部長を飛び越し、第2方面警部本部長に就任する。
そこには、ある裏があった。
さらに、大森署管内で起きた交通大事故、そこから
消えたトラック運転手。
前作、果断から続く竜崎と大森署の戸高刑事とのやり取り、
すごく、面白い。
1作、隠蔽捜査で、会っている女性キャリア官僚が、
第2警備本部長である竜崎の秘書官として、
派遣されてきて、彼女に恋してしまう竜崎の男心。
これって、きっと男が一生で一回はある女性への恋心を
見事に描いて、おじさん達の心をつかんでいる。
警察小説、1作、2作のあのノリを期待した読者には
見事に裏切られるが、それが読者の心に反して、
「こう来たか!」と、思わせる秀逸だった。
さて、アメリカ大統領を無事、警備できるか?
そして、竜崎の恋心は・・・。
を読んだ。
米治郎の推薦度 ☆☆☆
これは、面白かった。
堅物で、論理、理性しか信じない警察キャリア官僚の竜崎伸也が、
なんと、後輩の女性警察キャリア官僚に恋してしまうのである。
しかも、その局面は、アメリカ大統領が来日することが決まり、
その警備が始まり、息子の薬物使用という不祥事で、
大森警察署長である竜崎が、本来、第2方面本部長が、
大統領警備の第2方面警部本部長にならなければいけないのに、
第2方面本部長を飛び越し、第2方面警部本部長に就任する。
そこには、ある裏があった。
さらに、大森署管内で起きた交通大事故、そこから
消えたトラック運転手。
前作、果断から続く竜崎と大森署の戸高刑事とのやり取り、
すごく、面白い。
1作、隠蔽捜査で、会っている女性キャリア官僚が、
第2警備本部長である竜崎の秘書官として、
派遣されてきて、彼女に恋してしまう竜崎の男心。
これって、きっと男が一生で一回はある女性への恋心を
見事に描いて、おじさん達の心をつかんでいる。
警察小説、1作、2作のあのノリを期待した読者には
見事に裏切られるが、それが読者の心に反して、
「こう来たか!」と、思わせる秀逸だった。
さて、アメリカ大統領を無事、警備できるか?
そして、竜崎の恋心は・・・。
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by l-cedar
| 2012-02-15 08:00
| 感想文
「廃墟に乞う 佐々木 譲 著 文春文庫」を読んだ。
米治郎の推薦度 ☆☆☆
第142回直木賞受賞作品である。
佐々木譲さんは、「選考委員の先生方からの『永年勤続表彰』の
意味もあったのではないか」と、仰っておられる。
本来なら、138回の直木賞にノミネートされた「警官の血」で
取っていなければいけなかった。
だから、”永年勤続表彰”と仰られたその言葉は頷ける。
まず、その設定、佐々木譲さんがこだわる北海道、
その各地を描くために、北海道警の捜査1課の刑事が
PTSDで休職中という設定である。
これは、見事である。警察官であるが、探偵なのである。
そう、探偵ハードボイルドとも言える作品である。
しかも、ハードボイルドとは、匂わせないのも素晴らしい。
短編集で、「オージー好みの村」、「廃墟に乞う」、
「兄の想い」、「消えた娘」、 「博労沢の殺人」、
「復帰する朝」の六編からなる。
全編を通しての主人公、仙道孝司は北海道警の
捜査1課の刑事、何らかの事件で、PTSDになり、
心療内科で経過観察中で休職中である。
その仙道が、過去に扱った事件の関係者たちから
相談を受けて、6つの事件を解決していく。
相談者は、過去の事件の加害者、被害者、
そして、その事件の担当刑事だったりと
ストーリーテラーは見事である。
特に、題名にもなっている「廃墟に乞う」は
見事である。さらに、最後の「復帰する朝」では、
なぜ、仙道がPTSDになってしまったかが
明らかになり、なぜ、直木賞を取れたかが
わかった。この短編の構成で、
仙道という主人公が、刑事でありながら、
探偵として、自分が所属している北海道警察と
相反したり、協力したり、六編別々の設定が
秀逸である。
この”廃墟に乞う”のすべてを読んで、
これで、直木賞を取れたのがわかった。
米治郎の推薦度 ☆☆☆
第142回直木賞受賞作品である。
佐々木譲さんは、「選考委員の先生方からの『永年勤続表彰』の
意味もあったのではないか」と、仰っておられる。
本来なら、138回の直木賞にノミネートされた「警官の血」で
取っていなければいけなかった。
だから、”永年勤続表彰”と仰られたその言葉は頷ける。
まず、その設定、佐々木譲さんがこだわる北海道、
その各地を描くために、北海道警の捜査1課の刑事が
PTSDで休職中という設定である。
これは、見事である。警察官であるが、探偵なのである。
そう、探偵ハードボイルドとも言える作品である。
しかも、ハードボイルドとは、匂わせないのも素晴らしい。
短編集で、「オージー好みの村」、「廃墟に乞う」、
「兄の想い」、「消えた娘」、 「博労沢の殺人」、
「復帰する朝」の六編からなる。
全編を通しての主人公、仙道孝司は北海道警の
捜査1課の刑事、何らかの事件で、PTSDになり、
心療内科で経過観察中で休職中である。
その仙道が、過去に扱った事件の関係者たちから
相談を受けて、6つの事件を解決していく。
相談者は、過去の事件の加害者、被害者、
そして、その事件の担当刑事だったりと
ストーリーテラーは見事である。
特に、題名にもなっている「廃墟に乞う」は
見事である。さらに、最後の「復帰する朝」では、
なぜ、仙道がPTSDになってしまったかが
明らかになり、なぜ、直木賞を取れたかが
わかった。この短編の構成で、
仙道という主人公が、刑事でありながら、
探偵として、自分が所属している北海道警察と
相反したり、協力したり、六編別々の設定が
秀逸である。
この”廃墟に乞う”のすべてを読んで、
これで、直木賞を取れたのがわかった。
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by l-cedar
| 2012-02-11 20:00
| 感想文
「暴雪圏 佐々木 譲 著 新潮文庫」を読んだ。
米治郎の推薦度 ☆☆☆
川久保篤巡査部長、かっけぇー。
500ページ目、「うわー、かっこいい」と思った。
”保安官小説”だそうだ。
巻末の解説、コラムニスト香山二三郎によると、
”制服捜査”、この”暴雪圏”の
所謂、“駐在警官・川久保篤”シリーズ は
”保安官小説”という位置づけだそうだ。
”制服捜査”は、佐々木譲さんに厳しく”☆”だったが、
この”暴雪圏”は、迷わず、”☆☆☆”である。
実は、この前に読んだ、ケン・フォレットの”ペーパー・マネー”が
今一つだったので、この”暴雪圏”を読み始めて、非常に安心したのだ。
川久保篤巡査部長が単身赴任で勤務する北海道十勝の志茂別駐在所、
そこを3月の彼岸、彼岸荒れといわれる暴風雪が襲う。
幹線道路は、吹雪と大雪で遮断されてしまう。
そこに、いろいろな事件が起こり、それが佐々木譲さんの見事な
ストーリーにより絡み合って、一つになっていく。
まず、上手いと思ったのは、この暴風雪が、過去に小学生が
帰宅途中、遭難した事件を町の生き字引の片桐に語らせて、
如何にすごいモノかを読者にわからせる手法、見事である。
そして、いろいろな事件が、川久保篤、駐在警官一人だけの
小さな町に重なって起こりはじめる。視点はすべて、その
当事者に語らせる手法も見事だ。
最後は、冒頭に語ったように、最悪の拳銃を持った犯人と
相対してしまう川久保篤、撃ち合いになるが
冷静に判断を下していく。
それが、川久保篤巡査部長、かっけぇー。
米治郎の推薦度 ☆☆☆
川久保篤巡査部長、かっけぇー。
500ページ目、「うわー、かっこいい」と思った。
”保安官小説”だそうだ。
巻末の解説、コラムニスト香山二三郎によると、
”制服捜査”、この”暴雪圏”の
所謂、“駐在警官・川久保篤”シリーズ は
”保安官小説”という位置づけだそうだ。
”制服捜査”は、佐々木譲さんに厳しく”☆”だったが、
この”暴雪圏”は、迷わず、”☆☆☆”である。
実は、この前に読んだ、ケン・フォレットの”ペーパー・マネー”が
今一つだったので、この”暴雪圏”を読み始めて、非常に安心したのだ。
川久保篤巡査部長が単身赴任で勤務する北海道十勝の志茂別駐在所、
そこを3月の彼岸、彼岸荒れといわれる暴風雪が襲う。
幹線道路は、吹雪と大雪で遮断されてしまう。
そこに、いろいろな事件が起こり、それが佐々木譲さんの見事な
ストーリーにより絡み合って、一つになっていく。
まず、上手いと思ったのは、この暴風雪が、過去に小学生が
帰宅途中、遭難した事件を町の生き字引の片桐に語らせて、
如何にすごいモノかを読者にわからせる手法、見事である。
そして、いろいろな事件が、川久保篤、駐在警官一人だけの
小さな町に重なって起こりはじめる。視点はすべて、その
当事者に語らせる手法も見事だ。
最後は、冒頭に語ったように、最悪の拳銃を持った犯人と
相対してしまう川久保篤、撃ち合いになるが
冷静に判断を下していく。
それが、川久保篤巡査部長、かっけぇー。
▲
by l-cedar
| 2012-02-04 21:00
| 感想文
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