高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

隠蔽捜査

「隠蔽捜査 今野敏著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

今度も警察小説である。しかし、”警視庁強行犯係・樋口顕”シリーズとは、
全く趣を異にする。
主人公・竜崎伸也は長官官房の総務課長、東大を卒業した
バリバリのキャリア官僚である。東大以外は大学ではないと、
せっかく一流の私立大学の合格した息子を浪人させてしまう。
物語の冒頭は、そんな竜崎伸也の描写が続く。
読めば読むほど、いやな奴だ。
警察庁の中でも上司だろうが部下だろうが、自分以外は信じない。

やがて、東京で殺人事件が起きる。
被害者は、強姦など婦女暴行事件を犯したが、少年だったので
すぐに更生を目的とする少年法により短い刑で社会に戻ってきた
青年だった。第2の事件が起きる。その被害者も同様だった。

警視庁刑事部長は竜崎のキャリアの同期の伊丹俊太郎、
彼は同期でただ一人の私立大卒。実は、竜崎の小学校の同級生だった。
小学校時代、竜崎は、伊丹から”いじめ”にあっていた。それが未だに
竜崎の中にあった。

この設定がすごく面白い。やがて、米治郎は”今野敏”ワールドに
またしても引き込まれてしまった。

さて、殺人事件と同時進行で、竜崎は浪人中の息子・邦彦が自室で
ヘロインを吸っているのを見つけてしまう。
犯罪を絶対に許せない竜崎は葛藤する。それと同時に、
殺人事件の犯人は警察官であることが濃厚になってくる。
刑事部長の伊丹は警察庁からの指示で、事件を隠蔽しようとする。
それをしてしまったら警察ではなくなると、竜崎は伊丹に隠蔽しないよう
説得する。自身の息子のことも伊丹から隠蔽を促されるが、
竜崎は、・・・。

こういう人が実際にいるかどうかはわからないが、日本のために、
国民のために、汗をかいて働いている人がいるんだ、と、
改めて思った話だった。
警察のキャリア、”踊る大捜査線”などのテレビドラマなどで
キャリア官僚とは、出世、保身、しか考えていない奴らの集まりで
あるかのように描かれていたが、この本は少し違った。
同じ人間であることがわかった。

ハードカバーで”隠蔽捜査2”が出ているようだが、文庫本化を期待したい。
[PR]
by l-cedar | 2008-07-19 09:06 | 感想文