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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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訳本

海外の小説を読むに当たって、日本語以外ができない米治郎は
当然、訳者が日本語に訳したものを読む。

この”訳”、訳することがすごく大事なことだと思う。
訳が上手か、下手かでその本の日本での評価は全く変わってくる。
先日読んだ”Uボート 最後の潜航”、この訳は訳者には申し訳ないが、
英語がわからない米治郎でも”下手”だと思った。
英語がわからない米治郎が”訳”が下手だということも
おこがましいが、これはちょっと酷かった。
例えば、U113というドイツ潜水艦Uボートの艦長が
主人公であるが、その艦長をさす言い回しでも
”ドイツ人艦長”だったり、固有名詞”シュトルマー”だったり、
たぶん、原作もそうなっているのだろうが、”訳”って、
原作に忠実であることはもちろん大事だが、それ以前に
その物語を日本語で表すにあたって、いかにたくさんの
日本人に読んでもらうか、わかってもらうかの方が
大事ではないだろうか。だから、ある程度創作を交えた
訳をすることが読みやすくする上で大事だと思う。

それと、英語がわからない米治郎でもこれは明らかに
”直訳”だなと思う表現だ。
例えば、日本人が中学で最初に習う
”This is a pen."
これは中学の問題では「これはペンです」と
”直訳”するのが正解だが、日常会話で
ペンを指して「これはペンです」という会話はありえない。
(ペンを指して、ペンだと言う設定もあまりないと思うが・・・。)
つまり、もっと難しい教科書の英語でも直訳することが
学校では”正解”だが、”訳”の世界ではおかしすぎる事が多い。
”訳”を生業にしている人に、米治郎ごときの輩が
”おかしい”というのは、何度も言うがおこがましい。
しかし、”訳を生業”にしているからこそ、米治郎ごときが
直訳とわかるような訳、言い回しがおかしい言い方、
そんな仕事、「金返せ」だ。
(実際にこの本、文庫本でそんなに厚くないのに税込みで
1,008円した)
まあ、”Uボート 最後の潜航”で書いたように
最後のほうが良かったから納得したが・・・。

”5W1H”で日本の小説について言ったが、日本の小説以上に
海外の小説の訳も、これが大事だと思う。
ある程度、訳者は創作も必要だと思う。
そういう意味で、訳者はひとつの小説を自分で書く気概を
もって訳したことがわかるような仕事を期待したい。
そういう本に出会ったときは、すごくうれしい。
最近では、”ホーネット、飛翔せよ”が訳した小説であることを
感じさせない本だった。この訳をしている”戸田裕之さん”、
この人の訳は安心して読める。

良い本に出会うことは難しい。
by l-cedar | 2008-02-09 11:11 | 日々