高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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新宿鮫

「新宿鮫 大沢在昌著 光文社文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆

文庫本の初版1刷が1997年8月20日、米治郎が手にしているのは、
2007年10月25日37刷だ。さらにカッパ・ノベルスとして
発刊されたのが1990年9月とあるから
世の中に出てから17年以上経っていることになる。
はっきり言って、もともと少し馬鹿にしていた。
映画にもなって、NHKBSでドラマにもなって、
この作家に、ほとんど興味は持っていなかった。
”新宿鮫”で吉川栄治文学新人賞、日本推理作家協会賞、
”新宿鮫Ⅳ無間人形”で直木賞も取っている。
自他共に認める日本を代表する”固茹で”作家だという。
でも、ずっと読んでいなかった。
”パンドラ・アイランド”の項目で書いたとおり、
コレは読まなくてはと思った。

想像以上の面白さだった。
”パンドラ・アイランド”同様、主人公の設定がすばらしい。
たぶん、この作家の作品に対する真骨頂なのだろう。
主人公、新宿鮫こと鮫島、下の名前は、出てこない。
階級は”警部”、全国警察官22万6千人の中の国家公務員
Ⅰ種試験に合格した520人の”キャリア”警察官のうちの一人である。
警察内部、公安部の暗闘に巻き込まれ、新宿署の防犯課に
左遷されることを選ぶ。そして、検挙に検挙を重ね、
”やくざ”からも恐れられる”新宿鮫”と呼ばれるようになる。

冒頭で、ホモの人たちが集まるサウナでの張り込みで、
同業者の他署の刑事とのやり取りから期待は膨らむ。
ふとしたきっかけから、その刑事と喧嘩になりそうになり、
刑事が警察手帳を出しながら、「上等じゃねえか、この野郎!
署に来てもらおうか。叩きゃ、なんか出るだろう」
「やめとけよ。そんなもの珍しかねえよ」「なに?」
一見、二十七・八に見える長髪の男の目の中に、見かけとは違う何かを嗅ぎつけた。そして、鮫島の正体に気づいた。「てめえー」「う、嘘だろ」
「人の縄張り踏み込んで、”帳面”ちらつかすんじゃねえよ」
「あ、あの野郎が”おぶ”やってんじゃないかと思ってさ、つい調べようって」
「すっぱだかで入るサウナ風呂で”板の間稼ぎ”か?」
「ど、どこだよ、新宿か?」
「俺がいえば、あんたもいう。マズいのじゃないか?」
「悪さすんなら、地元でやってくれ」

こういう具合に登場人物のセリフに”符牒”が良く出てくる。
それがより本格的に脇を固めて盛り上げる。

鮫島の恋人は、”晶”、14歳下のロックシンガー、
この設定も良い。”クスリ”の内偵と犯人逮捕が
きっかけで、付き合うようになる。

拳銃密造、密売が1作目の主なストーリーで
拳銃に見えない銃を作る”木津”との戦い、
そして、彼の作品、ショルダーフォン(昔の携帯電話)、
のような銃が次々に警察官を殺していく。
ショルダーフォンが出た頃の話だが、まったく古さは感じないのは、
ストーリーに組み立てがしっかりしているからだろう。
”木津”に捕らえられ、上司の”桃井”に助けられ、
”晶”にそのときの様子を語るところも良い。
殺されそうになり、恐怖に耐え、かっこをつけないで
その恐怖を語る人間らしさがヒーロー物であるのに
かっこ悪さがなく、米治郎は新鮮だった。
最後、犯人との対決・・・。
警察オタクも出てきて面白い。

実は現在、”Ⅵ”を読んでいる。少しずつ、ここで紹介していく。
もうすでに読んでいる人は多いだろうが、
米治郎、絶対にお勧めの本である。
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by l-cedar | 2007-12-08 09:53 | 感想文