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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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BT63

米治郎の推薦度 ☆

「BT63(上下) 池井戸 潤 著 講談社文庫」を読みました。少し前から、本屋に並んでいるのが気になっていた本でした。作者の池井戸潤さんは、慶應義塾大学を卒業して、三菱銀行を経て、銀行小説で有名な人らしいです。この人のは、米治郎は初めて読みました。
主人公の大間木琢磨は、精神を病み、妻からも離婚されていますが、その病が直りそうなところから話は始まります。ふとしたことから父・史郎の若かった頃に、父の視点で入り込むことができることがわかります。最初は、病気が再発してしまったのか、それとも更に進んでしまったのか葛藤があります。しかし、それは、病ではないことがわかってきて、今は亡き、父親の若い頃のいろいろな出来事を知り、さらには自分探しの旅が始まります。
この父親の視点へ入り込んでいくという発想が面白かったでした。息子が思いついたことが、父親の思いつきとして、父親の人生を変えていきます。
題名の「BT63」はボンネットトラックのことで、ストーリーを展開する上で、たいへん重要な役割を演じます。
ちょっと、内容で気になったことがありました。ボンネットトラックの描写で、停車するときに、ハザードランプを点灯させて云々とか、曲がるときに橙色のウインカーを点滅させて云々の描写があります。しかし、この当時は確か、ハザードランプという機能は、まだなかったと思いますし、ウインカーも乗用車なども含めてほぼすべての車種が、ウインカーはブレーキランプと、共用の赤色であったと思います。物語のストーリーの中で、あまり重要ではないかもしれませんが、状況を説明する描写なので、ちょっと時代考証ががさつな感じがしました。ボンネットトラックがほぼ主人公なのですから・・・。

と、重箱の隅をつつく米治郎でした。
by l-cedar | 2006-10-30 08:53 | 感想文