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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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心に龍をちりばめて

「心に龍をちりばめて 白石 一文 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆★

3日連続の感想文。
3日連続で読んでいないので(当たり前田のクラッカー・・・(爆))、
ご安心を・・・(心配されてないしっ・・・)。

”☆☆☆”には惜しかった。
これは、女性向きであり、女性の”心”を理解する上で、
男性にも読んで欲しい気はするが、やはり、女性向きである。

白石一文さん、男女間、男性同士、人間同士、
人間模様の機微を書かせたら、当代一であろう。
それは、文芸春秋社の編集者から作家への転身。
さらには、佐々木譲さんと同一受賞となった、
2009年(平成21年)下半期の第142回直木賞受賞で
明らかであり、証明されている。

さて、今回の主人公は、女性34歳、小柳美帆。
モデルでも、女優でも、アナウンサーでも
なれた、行きかう男性が振り返り、
女性も羨む美貌の持ち主である。
さらに、お茶の水女子大を卒業し、才色兼備、
年収2,000万円のフリーのフードライター。
その彼氏は、東大法学部卒で、大手通信社の政治記者、
国会議員立候補を伺う超エリートの黒川丈二。
しかし、やくざである幼馴染の仲間優司と
再開して、美帆は変わっていく、いや、
本来の姿に戻っていくのか・・・。

巻末、どなたかは存じ上げませんが、
吉田伸子さんという方の解説にも、
書かれているが、白石一文さんは
これが言いたくて、この小説を書いたのではないか、
と、言うセリフをここであげておこう。
美貌の女性(美帆)が、結婚寸前状態の
超エリートの恋人(丈二)の両親に言うセリフ。
「もう、あなたたちにはうんざりです」
「初めて会ったときから、『きれいだ、きれいだ』
ばっかりで、いい加減イヤになりました。
あなたたちは自分の息子の婚約者に対して、
何か語るべき他の言葉を持ち合わせていないのですか。
~(中略)~私は努力してこの顔に生まれたわけじゃないし、
別にきれいに生まれたいと望んだ覚えもありません。
~(中略)~それともあなたたちは、顔の整った人間は
美しくない人間より人間的に優れているとでも
本気で考えているんですか。そういう下品な考え方にも
もう飽き飽きです。(後略)」
このセリフ、超美人の美帆に言わせることで、
本当にスカッとする。

白石一文さん、米治郎の同世代として、
この国の行く末を疑問に思うセリフも
女性の主人公に言わせている。

そして、仲間優司の存在。
「俺はお前のためならいつでも死んでやる」
このセリフ、美帆は、中学時代、
溺れかけた美帆を弟を助けて、
死にかけた同級生の優司が、病床で
ずっと眠りに落ち、気がついたときに
これを言われる。

さて、二人の人生は・・・。

やはり、
にっぽん、ちゃ、ちゃ、ちゃ。
by l-cedar | 2010-11-28 21:40 | 感想文