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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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東京ダモイ

東京ダモイ 鏑木 蓮 著 講談社文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆

鏑木蓮さん、初めて読む作家ある。
出張先の名古屋で、”聖獣配列”が下巻の後半にさしかかり、
次に行く地の舞鶴では、本屋が遠く、これは、何か買っておかないと、
読むものがなくなってしまうと、必死に探して、偶然手に取った本だ。
講談社文庫の8月の新刊で、これから行く舞鶴が偶然、舞台になっている。
さらに、シベリアの捕虜の話、最初少し、読んでみて読みやすい文章、
こりゃ、ドンピシャ、買うしかないと思い、買った。
やはり、舞鶴へ行く途中、”聖獣配列”は読み終えてしまい、
読み始めた。こりゃ、面白いと、どんどん読み進めた。

舞台は、シベリアの第53俘虜収容所、想像を絶する厳寒の地獄の地だ。
高津2等兵は、自分の役目である水を汲みに行く途中、
上官の鴻山中尉の首なし死体を発見する。
それが始まりだった。
舞台は、現代に、自費出版社の営業、槙野は、300万で
俳句集の出版をしたいという高津という老人の依頼で、
その老人が住む綾部を目指していた。
同じ頃、舞鶴西港で、ロシア人老女の死体が発見される。
舞鶴署に現れた高津老人は、姿を消す。

本書は、第52回江戸川乱歩賞受賞作品である。
鏑木蓮さん、相当の乱歩フリークであり、卒論は、
”江戸川乱歩論”、江戸川乱歩賞受賞など本望であろう。
さて、その受賞作品であるから、たいへん質感のある
すばらしいミステリーで、読み手は読み始めて、
すぐにそのゴールに向かっていることを知るが、
”シベリアの首なし死体”、”舞鶴港のロシア人老婆の死体”、
そして、高津という老人、俳句集、これがどう繋がってくるかが
この小説のキモであり、それがゴールである。

物語の舞台が”綾部”、”舞鶴”とまさに米治郎的に、
”旬”な場所であったので読み浸ってしまったが、
”2時間ミステリードラマの題材として”、といえば、
その内容はわかっていただけるだろう。
出版社の営業、槙野とその上司の晶子の男と女のやり取りも
物語の進行に華を添える。
現代の舞台で第2、第3の殺人が起こり、それが
シベリアの殺人と繋がっていく。犯人は意外な人物だった。

まさに、”2時間ミステリードラマの題材として”、定番である。
舞鶴出張からの帰りの特急、新幹線と、全く寝る間を惜しんで
読み終えてしまった。”☆”は厳しすぎたかも・・・。
by l-cedar | 2009-09-12 06:53 | 感想文