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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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神の領域

「神の領域 堂場瞬一著 中公文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆

これは文句なく”☆☆☆”だ。”☆☆☆☆”でも良いくらいだが、
あまり安売りしすぎなので、”☆☆☆”にしておく。
ここを読まれている方は、”☆☆☆”ばかりだと思って
いらっしゃるかもしれないが、これは実際に面白かったので
ご勘弁願いたい。

堂場瞬一氏の刑事”鳴沢了”シリーズにチョイ役で登場する
横浜地検の検事、”城戸南”のスピンアウトモノである。
かといって、”鳴沢了”はこちらには全く登場しない。
名前すらも出てこない。

話は、箱根駅伝の第9区を走る城戸南の回想から始まる。
彼はもう、今にも倒れそうで10区のランナーに襷をつなげるか
という状態だ。そのつなげなかった襷、陸上部を辞め、
酒におぼれた日々、父親を早く亡くし、母親の手で育てられたが、
その母も病気に倒れ、一人で死のうと考えていたところを
助けてくれたのは、高校の同級生、久松だった。
彼は、その後、マラソンに転向して、オリンピックで金メダルを取り、
日本の陸上界、世界のスターとなる。

横浜で大学生が撲殺される事件が起きる。
その大学生は、元湘南大学の陸上部の学生だった。
湘南大学は創部からわずか5年で、箱根駅伝に出て、2位という
快挙を成し遂げ、その監督は、”久松”だった。

今、警察小説が大流行だが、これはある意味、その流れを汲むが、
検事が主役で、刑事モノとは一線を引く。
検事モノというと、テレビドラマの大嫌いなキムタクの主演、
”HERO”を思い浮かべるが、主人公の”城戸南”は
昔、陸上をやっていたとはいえ、今はメタボの中年である。
彼は、ニューヨークへ単身赴任している旅行代理店の支店長の
妻、藍子との間に中学生の一人娘、理佐がおり、彼女と二人で
藍子の実家に同居している。藍子の父、城戸の義父は元検事、
今は、引退しているが、城戸のよき相談相手だ。

堂場瞬一氏の話は、”鳴沢了”シリーズにしてもそうだが、
人物の設定がしっかりと描かれ、それが非常に読みやすいのである。
そして、主人公と脇をつとめる人物たちの会話、そういう会話も
脇の人物の設定がしっかり描かれているので、非常にわかりやすいので
読みやすい。スゥーと入って、スゥーと読める、安心して
読んでいける作家の一人だ。書店で見つけて迷わず買ってしまった。
もし、読む本に困ったら、”鳴沢了”シリーズからこの”神の領域”まで
一気に読むことをオススメする。
by l-cedar | 2009-01-18 04:52 | 感想文