高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

<   2011年 03月 ( 7 )   > この月の画像一覧

群青に沈め

群青に沈め 熊谷 達也 著 角川文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

相克の森邂逅の森氷結の森
森シリーズで有名な熊谷達也さんの太平洋戦争ものだ。

太平洋戦争で日本の敗戦が見えてきた頃、数々の
特攻兵器が開発されていた。その中の”伏龍”と
いう兵器をありあげた小説である。
この”伏龍”、という特攻兵器。
ウィキペディアにリンクしてあるので、詳しくは
そちらを参照されたいが、「何でこんな酷く悲しいものを
考え付くのだろうか」というのが、率直な感想である。

主人公の浅沼遼一は岩手県種市出身の17歳。
三重海軍航空隊に乙種飛行予科練習生として
入隊して零戦に乗ることを夢見るが、戦況の悪化で、
飛行機は、神風特別攻撃隊に投入され、練習機もなく、
ただ、穴を掘る毎日。そして、ある日、班長から呼ばれた。
それは、第七十一嵐突撃隊水際特攻伏龍隊に配属される。
そこは、伏龍という特攻兵器で、上陸してくる
上陸用舟艇の水面下で待ち構える人間機雷。

太平洋戦争を題材にして、さらに17歳の特攻兵というテーマ、
しかし、主人公の心の中の語り、それも軽い語り口で
物語は進むので、思っていたほど、重くはない。
さらに、ネタばれになるが、戦場で人が死ぬシーンはない。
だが、逆にそれが、戦争の、そして、特攻という
悲しく重いテーマを引き立てる。

太平洋戦争の小説を読むといつも思うことだが、
この時代、全国民、子供にいたるまでが、
真摯に日本のことを考えていた。

戦争小説としては、読みやすい文章なので
若い人に是非読んで欲しい。

戦争、そして、この災害・・・・・、今・・・。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-27 14:23 | 感想文

オレンジの壺

オレンジの壺(上・) 宮本 輝 著 講談社文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆

父からすすめられた結婚の果てに、1年で離婚した主人公の田沼佐和子。
家庭裁判所の廊下で、夫から別れ際の言葉、
「お前には、どこも悪いところはない。だけど、いいところも
ぜんぜんないんだ。女としての魅力も、人間としての
味わいも、まったく皆無だ」
25歳の彼女の心に突き刺さっている。
佐和子は、3男3女の末っ子で、父は、大手食品商社の2代目社長、
父、つまりは佐和子の祖父から引き継いだ会社を大手に引き上げた。
その父から、突然、2000万円の小切手を渡され、
「何か事業を始めろ」と言われる。
そこで、思い出したのが、祖父からの遺言状で、佐和子に託された
祖父の日記だった。祖父が、第1次大戦後のヨーロッパへ
商売の基礎となる商品の販売権を獲得するため渡った時の
記録だった。しかし、それは、佐和子以外には開けては
いけないと遺言状に記されていた。
祖父はなぜ、父ではなく、さらに孫の中で、佐和子に託したのか?
軽井沢の弁護士が管理していた日記帳を読み、祖父の重大な秘密を
知る。そして、さらに、軽井沢の別荘で、祖父の当時の
フランス語の手紙の束をを見つける。その内容とは?

流転の海”、”草原の椅子”に続いて宮本輝さんの作品を
読むのは3作目だ。
さらに、内容は、主人公の祖父が、第2次大戦前のヨーロッパで
諜報活動をしていた云々、という紹介をどこかで読んだので、
宮本輝さんの3作目としてこれを選んだ。
元々この作品、1987年9月から1992年3月まで、当時の
20代の働く女性向けの「CLASSY」という雑誌の連載
されていたらしい。

”第2次大戦前のヨーロッパで諜報活動をしていた云々”を
宮本輝さんが書くとどうなるのか、と期待に胸を膨らませながら
読んでいったが、そっちの方はさっぱりだった。
多少ネタばれになるが、主人公の祖父がヨーロッパで
どういう諜報活動をしていたのかは、最後まで
はっきりしない。それが、米治郎的に”☆”にした理由だが、
そう、これは宮本輝さんの作品なのである。
実は、そこに期待したことが、読み方を間違えていたのだ。
宮本輝さんの話は、世の中の流れ、歴史の流れよりも
主人公が人間としてどうか?どう思ったか?どう行動したか?
に重きをおくので、その観点で読んでいけばよかったのだ。
だが、読了後、それを踏まえても、前に読んだ2作品に比べて、
少しのがっかり感を持った。
がっかり感の一番の理由は、いろいろな疑問が、
全く解明されないことだ。

しかし、20代の働く女性向けの雑誌の連載ということで、
25歳の女性が主人公、しかも離婚直後、さらに大手食品
商社社長令嬢で、軽井沢に別荘があるお金持ち、と、
この作品を書く背景としては、女性がターゲットであり、
25歳の女性がどう成長していくかが主題であるので、
”第2次大戦前のヨーロッパで諜報活動をしていた云々”は
どうでもよかった。そう思って考えると、
そのターゲットにはばっちりの小説であろう。
ただ、80年代後半から90年代前半の20代の女性を
ターゲットにしているので、今の女性に受けるかどうかは
男である米治郎にはわからない。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-27 14:00 | 感想文

母親と子供の会話

母親と子供の会話。

子供「お母さん、地震になると、みんな”うんち”したくなっちゃうんだね」

(これでわかったら、コメントください)









































母親「えっ???」

子供「だって、地震の後、みんなトイレットペーパーたくさん買っているよ」

母親「・・・・・」





ちょっと、笑えれば、嬉しい。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-23 20:54 | 日々

波紋

波紋 警視庁失踪課・高城賢吾 堂場 瞬一 著 中公文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

裂壊”に続く”警視庁失踪課・高城賢吾”シリーズ第6作目。

前作で、警視庁刑事部失踪人捜査課三方面分室、
室長阿比留真弓、主人公の高城賢吾の上司の
隠されていた素顔が描かれ、それによって、
失踪課三方面分室は空中分解寸前。
しかも、失踪課三方面分室のご意見番、オヤジさんこと、
法月が失踪課三方面分室がある
渋谷中央署の警務課に異動になる。

高城はその法月から、どっさりとファイルを渡される。
法月が今までファイルしていた失踪人のファイルである。
法月が、事件の合間を見て調べていた失踪人のファイルだが
今まで、事件が起きて、なかなか手をつけられずにいて、
異動になってしまい、それを高城に託してきたのだ。
高城はその中で、5年前の事件に目を止める。
ロボットメーカーの社員が失踪した事件だ。
野崎武生はロボット工学の研究者、ビートテクという
ロボットメーカーに研究者として勤務していた。
その彼が、首都高速で起きた玉突き事故に巻き込まれた
現場から忽然と姿を消してしまった。
高城と法月がいなくなった失踪課で唯一頼れる明神愛美
との失踪人捜査が始まる。

このシリーズの感想文ではそのたびに述べているが、
この警視庁刑事部”失踪課”、”失踪課”などと
いう部署は実際には警視庁には存在しない。
しかし、そのリアルな感じは、堂場瞬一さんならではで、
敢えて誰とは言わないが、戦隊モノではないかと思わせる
ような警視庁の架空部署のモノなど、巷にあふれている
架空部署モノとは明らかに違う。
それが、どんどん読んでいける糧となる。
また、失踪した野崎がロボット工学者と最先端の
ロボットという注目の技術者という設定、さらには
そのロボットが、医療用というのも興味深い。

最後は、第7作目への序章、
いよいよ、高城賢吾が酒浸りになり、
捜査1課のバリバリの刑事から
どん底へ落ちた原因、3歳の娘の行方不明。
思わせぶり感一杯の最後の言葉、
「時は来た」

第7作、期待感はどんどん膨れる。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-22 22:55 | 感想文

ネプチューンの迷宮

「ネプチューンの迷宮 佐々木 譲 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

この「ネプチューンの迷宮」がポプラ文庫から再刊された。
米治郎は、最初に出た新潮文庫の初刊を読んでいた。
そして、その復習を兼ねて読んだ。
10年くらい前に読んだモノの復習、佐々木譲さんには
悪いが、内容を全く覚えていなかった。
だから、始めて読む本と同様に楽しめた。
面白かった、さすが、佐々木譲さんだとあらためて思った。
まず、文章が読みやすい。作家はみんなプロなのだから、
読みやすいと、突っ込みを入れられそうだが、侮るなかれ、
これは、佐々木譲さんの文章の素晴らしさだと思う。
ここで何度も言っているが、佐々木譲さんの文章は、
「スゥー」と、頭に入ってくる文章なのである。
この「スゥー」と入ってくる文章を書ける人は少ない。
例えば、何気なく読んでいて、1度でも読み返すところが
あり、読み返さないとその文節がわからない小説、
読み返さないと、前後がわからなくなる小説は、読みにくい。
例え、それを、作家がわざと仕組んでいても・・・。
読んでいて、知らないうちにちゃんと頭に入ってきている文章、
佐々木譲さんは、米治郎が知っている限り、
そういう作家さんの一人なのだ。

さて、前置きが長くなったが、この小説、太平洋の
ある架空の国で起こった話である。
そこへ、部下を失い、過去を清算できない
ダイバーがその国の政変に巻き込まれる。
その政変は、その太平洋の国、サンゴ礁でできた
国土が海に沈み、なくなることが確実で、
それでも沈まない部分に残るか、
それとも国土を捨てて、国民全員で他国に移住するか・・・。

昔、“日本沈没”という小説、そして映画があった。
この今思うこと・・・、この小説、”日本沈没”は、
国土が沈没することを描いているが、必ずしも
そうではないのではと、”この今”、思う。

そういうことを佐々木譲さんは、問いかけている気がした。
佐々木譲さんは、ツィッターで問うている。

この小説の架空の国の国民は、どちらを選ぶのか?
そして、”この国”は・・・?

日本、ちゃ、ちゃ、ちゃ。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-16 20:34 | 感想文【復習】

暗闇の蝶

暗闇の蝶 マーティン・ブース 著 松本 剛史 訳 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆

所謂、洋モノ、米治郎が今まで読んだもので、完全に
三つに分けられた。
 ① 原作も訳が良くて、楽しく読めたモノ。
 ② 原作はどうかわからないが、
   その前に訳がダメダメで、楽しめなかったもの。
 ③ 訳は良いようだが、原作がどうなのか
   わからないモノ、である。

ところが、この「暗闇の蝶」はどれにも当てはまらない。
読み始めて、しばらく読み続けていくうちに、これは
③かなと思っていたが、全477ページの357ページ
くらいから、突然、面白くなってくる。
もちろん、357ページまで根気よく読まなくては
この面白さは味わえない。

さらに、米治郎の初体験。
この詩のような情景を表すだけの文章の羅列、
それも、これでもか、これでもかの羅列である。
小説の定番である登場人物の会話、
これが、ほとんどない、少しある会話で
物語は進んでいく。
主人公が回想している文章は、すべて一人称だ。
それだけで、話は進んでいく。

裏稼業の人の話、しかも殺しに関わる仕事で、
舞台はイタリアの田舎のとある町らしい。
表の職業、でも、それでお金は稼いでいないのだが、
蝶を書く画家。

もう、これだけで、読む気満々でのぞんだ。
しかし、読み始めてすぐ、「あらー、失敗した」と、
思った。少し前に読み始めて、挫折している
「砂漠の狐を狩れ スティーブン・プレスフィールド著」
の二の舞だと思った。356ページまでは・・・。

これを読むのには根気がいる。
読み始めると、すぐに眠くなるので、
米治郎が本を読む本来の目的、”移動時の睡眠薬”、
この目的には、打ってつけの作品だった。

しかし・・・・・、

結果的に、結構、面白かった。
こういう詩情的な文章が好きな方、
さらに、ハードボイルドが好きな方、

是非、おススメである。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-07 23:25 | 感想文

運命の人

運命の人(一))山崎 豊子 著 文春文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆★

こういう長編は、次から次へと読んでいけて、
1巻の次は2巻・・・、と次の本を探す心配がないので、
”読む本がないと死にそう症候群”には安心できる。
だが、4巻、あっという間に読んでしまった。
さらにたいへんなのは、こういう面白い本に
出逢ったときの次に読む本を探すことである・・・。

山崎豊子さんの小説は、必ず実在のモデルがいる。
その中で、有名なところでは、
『不毛地帯』、主人公の壱岐正は、伊藤忠商事の元会長瀬島龍三氏。
『沈まぬ太陽』、主人公の恩地元は、元日本航空の反会社側組合の
労働組合委員長、小倉寛太郎氏。

そして、・・・・・。

2009年9月、民主党が政権を取って、当時の岡田外務大臣が、
外務省の密約を、非核三原則の裏で結ばれた日米核持ち込み
密約問題 と朝鮮半島有事における作戦行動に関する密約に
加えて沖縄返還協定の密約も調査公表するよう
外務省・藪中三十二事務次官に指示と
いう報道を皆さんも記憶していると思う。

米治郎、常々思っていることがある。
日本人として、行かなければいけない場所がある。

富士山
伊勢神宮
沖縄
広島
長崎

米治郎、まだ、広島にしか行っていない。
富士山は5合目までは行った。頂上まで行かなくては行ったことにならない。
他は、全く行っていない。

さて、その沖縄。

薩摩に利用され、日本から何度見捨てられたのか・・・。
戦場になり、アメリカになり、日本に復帰してもアメリカ軍基地がある。
アメリカから本土復帰になっても、日本から見捨てられた。
さらに、今、民主党政権になっても、政治の道具。
前のポッポ首相の発言、沖縄の人たちの心は・・・、
アメリカと日本の間で、・・・。

”沖縄返還協定の密約”、それを主題とした小説である。
この密約が、最初に事件として、世間に出てきたのは、1971年。
世に言う”西山事件”である。
その事件を主人公、”西山太吉”氏。

この小説の主人公、”弓成亮太”は、もちろん、”西山太吉”氏のことだ。
この物語で、”毎朝新聞”は、実際は”毎日新聞”、
”旭日新聞”は”朝日新聞”、
そして、”弓成亮太”のライバル、
”読日新聞”の”山部一雄”はあのナベツネこと
”読売新聞”の”渡辺恒雄”氏である。
さらに、”佐橋首相”は”佐藤栄作”氏、
”福出武夫”は”福田赳夫”氏、
”田淵角造”は”田中角栄”氏、
”小平正良”は”大平正芳”氏。
これを踏まえて読んでいくと実に面白い。

”西山太吉”氏は”大平正芳”氏の番記者だった。
第1巻ではその生々しい話が、どんどん出てくる。
政治家の陰で、新聞記者が動いている場面・・・、
今、ナベツネが政治の陰で動いているという噂。
こういう話を読むと、すごくわかる。

ずっと、不思議だったことがある。
日本の三大新聞は、
ずっと、”読売”、”朝日”、”毎日”だった。
米治郎の母方の祖父は毎日新聞に勤めていた。
だから、良く覚えている。
しかし、いつの頃からか、日本の三大新聞は、
”読売”、”朝日”、”日経”に代わった。
そう、”毎日”が”日経”に代わったのだ。
これを読んでその理由がわかった。
毎日はこの”西山事件”で決定的に部数を減らした。
そのことが良くわかった。
※最近は毎日が挽回してきていて、
三大新聞は、”読売”、”朝日”、”毎日。


政治部の記者である弓成記者は、沖縄返還の為に、
日本がアメリカと密約を結んだことを 出入りしていた
外務省でつかんだ。それは、外務省高官の秘書をしていた
女性を通じてだった。それが、佐橋首相の逆鱗に触れた。
当時の佐藤首相の退陣会見で有名な「新聞記者は出ていってくれ」
との発言もこれに端を発している。

米治郎、西山事件や、こういう佐藤首相の発言を
リアルタイムで見ていたが、当時は中学から高校くらい。
恥ずかしながら、ニュースという番組に全く興味がなく、
新聞もテレビ欄以外は読んだことはなかったので、
当時は知らなかった。

これを読んで、当時のパズルが繋がった。
密約をした当時の政治家たち・・・、
だが、少なくとも今よりはマシなのでは・・・。

また、ここでも・・・、

にっぽん、ちゃ、ちゃ、ちゃ。
[PR]
by l-cedar | 2011-03-05 16:16 | 感想文