高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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カテゴリ:感想文【復習】( 13 )

警官の血

警官の血(上) 佐々木 譲 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆☆

この感想文ブログ、米治郎が読んだ本の感想文を書くことが
一番の命題だった。
今まで、数々の感想文を書いてきた。
最近、「感想文【復習】」編も少しずつ増えてきた。
しかし、今までの【復習】は、この感想文を
始める前に読んだ本を書いてきた。

今回の【復習】は比較的新しく、
この”感想文”ですでに書いた本の【復習】だ。

佐々木譲さんの”警官の血”の【復習】だ。
すでに書いた感想文で、この”警官の血”が
直木賞だと思っていた。
しかし、”警官の血”で直木賞は取れず、
”廃墟に乞う”で直木賞を取った。

佐々木譲さんが、警察小説の巨頭となったその最たる小説で、
テレビに出てくるアクションや派手な事件を扱う刑事である
警察官ではなく、本来の市民の為の警察官を取り上げた
警視庁警察官大河ドラマである。
テレビ朝日で、ドラマ化もされた。
それも感想文に書いている。
【前編】
【後編】

この小説が凄いのは、その人物背景、
特に、安城家三代の時代背景。
その緻密なノンフィクションを取材して、
フィクションに重ねている佐々木譲さんの筆致力だ。
例えば、”清二”編の”谷中天王寺 五重塔放火事件”。
そして、”民雄”編の”大菩薩峠事件”。

初代、”清二”が追っていた者。
二代目、”民雄”は、父の”それ”を追う為に
警官になったが、警官人生前半は、
違うことに費やされ、人格も失い、
”それ”を追うことができたが、
結局、”それ”の為に命を落とす。
三代目、”和也”は、”民雄”同様、
”それ”を追う為に、警官になるが、
当初は、全く違うことをさせられるが、
その功績により、”それ”を早く知ることができて、
そこで、読者は”それ”が何か作者の言葉によって、
自分の想像が正しかったことを知る。
そう、賢明な読者なら、”それ”は”清二”編でわかる。
少なくとも、”民雄”編で想像はつくだろう。
その読者の想像を考えての佐々木譲さんの
最後の”和也”編での結果の語り、
まさに読者の心をつかんだ見事な筆致と
言えるだろう。

三代に渡る”警官の血”とは・・・。



先日、この”警官の血”の続編である
警官の条件”を買った。
米治郎にしては珍しいハードカバーだ。
”警官の血”もハードカバーだったが、
”警官の条件”もハードカバーだ。

それは、”佐々木譲さん×今野敏さん トーク&サイン会”の
整理券
を手に入れるためだった。

そして、”佐々木譲さん×今野敏さん トーク&サイン会”へ行ってきた。
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by l-cedar | 2011-10-13 08:00 | 感想文【復習】
梟の朝―山本五十六と欧州諜報網作戦 西木 正明 著 文春文庫」
を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

さて、前回の”上海発奪回指令”、作者は違うがあの話に通じる小説だ。

この小説、ノンフィクションのような展開で進んでいく。
”わたし”であるフリーライターの神田、実はたぶん著者自身。
”わたし”が地元の卒業した高校時代の記憶から始まる。
38年前の私の高校時代、当時の地元の名士である
衆議院議員の須磨弥吉郎(※この人物、逢坂剛さんの
所謂イベリアシリーズの重要人物)が時局講演会を
行うところから始まる。

読み始めて、「あれ?」と思う。
「これ、ノンフィクション?」
米治郎、後で気づいたが、
もう、西木正明さんの術中に嵌ってしまった。

山本五十六提督が、ラバウル近くで
米軍機の待ち伏せに会い、戦死するずっと前、
彼は、ロンドン軍縮会議で副官だった光延東洋少佐
(※山本提督の副官時は少佐)に、1940年2月、
在イタリア駐在武官に任じるに伴い、
ヨーロッパにおける諜報戦を秘密裏に命じていた。
それは、秘密情報網”TO”だった。

”わたし”である神田は、次々と生き残っている
当時の人々に取材を敢行していき、
「光延東洋は、なぜイタリア山中でパルチザンから狙われ、
命を落としたか?」という謎を解き明かしていく。

今までに読んだことのないストーリーテラーである。
西木正明さんが取材した光延東洋に関するモノを
”わたし”というフリーライターが取材していたかのように
対談のような場面も多用して、物語は進んでいく。
でも、読者は、物語とは思えなくなっている。

そして、読了した後、これは小説だったの気付く。
復習だったが、十分に面白く読めた。
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by l-cedar | 2011-10-06 08:00 | 感想文【復習】

上海発奪回指令

上海発奪回指令 伴野 朗 著 ハヤカワ文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆

残念ながら、この本も廃刊になっているようだ。伴野朗さんの本は
たぶん、ほとんどそうなっているのではないだろうか。
さて、1995年6月15日発行とあるので、その頃に購入して
読んだモノの復習だ。

ここで、以前に紹介した同じく伴野朗さんの”第三の原爆”。
そこで、中途半端な書き方になってしまったが、
”山城太助”シリーズのことに少し触れたが、
これが、”山城太助”シリーズの最たる小説だ。

物語の冒頭、ロンドン海軍軍縮会議
予備交渉がロンドンで開かれ、首席代表の山本五十六中将は、
副官の光延東洋少佐(※この名前、次回の感想文で出てくるので
覚えておくように)を伴い、シベリア鉄道での帰路、
ハルビンに着いた。山本五十六の賭博好きは有名で、
シベリア鉄道車中で、光延少佐たち随行の者は、花札や
ポーカーなどでずいぶんと巻き上げられていた。
山本提督は、ハルビンのカジノへ行く。
山本提督、もちろん山城太助と知らずに、同じテーブルに着く。
そこで、イカサマに気付いた山本提督に
イカサマをした男のナイフが襲った。
それを山城太助が危うく助ける。

”山城太助(中国名:程光)”は、上海ジェスフィールド路七六号に
本部がある通称『七六号』と呼ばれる土肥原賢二中将が
築いたとされる帝国陸軍対重慶秘密工作機関に属している。

対する重慶(蒋介石率いる中国国民党)側は、
戴笠率いる復興社。復興社は戴笠が
青い服を着ていたことから『藍衣社』と呼ばれていた。

太平洋戦争ミッドウェー海戦を勝利したアメリカ、
だが、日本の暗号”JN-3”を見抜けなかった。
だから、どうしても”JN-3”の暗号書と乱数表が欲しかった。
そこで、アメリカから藍衣社へ命令が下った。
「JN-3の暗号書と乱数表を手に入れよ」

藍衣社は、取っておきの工作員を用意した。
その名は”羅刹女”、父は日本人、母は中国人、
変装の名人の女性工作員だ。今まで素顔は知られていない。

羅刹女はJN-3を盗ることができるか?
そして、それを阻む山城太助。

結果は、意外な結果に終わり、それで・・・。

日本の太平洋戦争時のスパイモノ。
米治郎のツボにハマる小説だ。
伴野朗さんの山城太助シリーズ。
知ったのは、26年くらい前だった。
しかし、もうほとんどの本が書店から消えていて、
残る本もわずかだった。その中から何冊か手に入れた。
”上海奪回指令”はそんな中の貴重な1冊。

米治郎と同じ趣味(たぶん、いないだろうなぁ)なら必読の1冊だ。
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by l-cedar | 2011-10-04 08:00 | 感想文【復習】

ストックホルムの密使

ストックホルムの密使(上) 佐々木 譲 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆

佐々木譲さんの第二次大戦三部作、最後の作品。
平成9年12月1日の初版本を読んだので、
約13年前に読んだモノの復習だ。

第2次世界大戦中のパリ、すでにナチスドイツが
パリを占領していた。パリのとあるカジノサロン、
元ホテルマンで遊び人の森四郎の元へ
ゲシュタポがやってきて、同行をもとめられた。
ここから、物語は始まる。

舞台はかわって、スウェーデン、ストックホルム。
帝国海軍在スウェーデン駐在武官の大和田市郎は、
ポーランド軍情報部のヤン・コワルスキからソビエトや、
イギリスなどの情報を得て、日本へ送っていたが、
その情報が、軍令部に届いていないのではないかと
不審を抱いていた。

そして、東京海軍省。
書記官の山脇順三は、高木惣吉少将から
目黒の海軍技術研究所に呼び出されていた。
戦争終結の為に力をかさないか、という打診だった。

一方、ストックホルムの大和田武官は、
日本を滅亡に導くソビエトの参戦、
そしてアメリカの原爆開発の成功という
重要な情報を得る。そして、その情報を
軍令部に伝えるため、2人の密使に託す。

復習なのに、どんどん読み続け、
どうなる、どうなると思いながら、
少し覚えているところもあるのだが、
断片的に忘れていて、あれ、ここは覚えているが、
この後どうなるんだっけ、と冷や冷やしながら、
あっという間に読み終わり、すごく楽しめた。
佐々木譲さん、あらためて流石だと思った。

ベルリンで、”ベルリン飛行指令”で、零戦をベルリンまで運び、
山脇書記官の妻の兄、安藤海軍武官が登場するのが、
安藤はここにいたんだと思う。
少しずつ、繋がっていて、好奇心を満足させてくれる。

歴史の結果を見れば、明らかなことだが、
日本は、ソビエトの参戦、アメリカによる
二度の原爆投下により、無条件降伏をするが、
そこへ至るまでの裏で起こったかもしれないこと。
それを佐々木譲さんは、奇想天外な見事なストーリーで
書きあげている。
13年経って、あらためて読んだが、
全くぶれていない傑作である。
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by l-cedar | 2011-09-29 08:00 | 感想文【復習】

第三の原爆

第三の原爆 伴野 朗 著 講談社文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

この本、たぶん廃刊になっている。
もし、興味を持たれた方は、アマゾンへリンクしてあるので、
そこから古本を探してみてはいかがだろうか。

伴野朗さん、中国の小説を書か書かせたら、
素晴らしい。

米治郎が好きなのは、伴野朗さんの”山城太助”シリーズ。
山城太助は、上海特務機関の工作員だ。

第三の原爆。
日本に、落ちたのは、広島、長崎の二発だ。
ところが、長崎には、二発、原爆が落ちていた。
しかも、二発目は不発だった。

その原爆を、日本の敗戦工作を謀る一部の軍部。
原爆が欲しいソビエトの諜報員。
さらに、それを外部に出したくないアメリカの諜報員。
その三派が、入り乱れて、終戦直前の日本で策略する。

西木正明さん、その前の伴野朗さん。
さらに、佐々木譲さん。
このお三方、太平洋戦争前後の小説。
秀逸としか言いようがない。

伴野朗さんのこの”第三の原爆”。
このご三方、”火のないところに煙は立たない”。
だから、非常に興味深く、非常に面白い。

1995年8月15日第1刷。
米治郎が持っているのは、この本だ。
だから、初読は、1995年8月前後。

この本、夢中で探した。
上海奪回指令で、伴野朗さんに嵌って、
読み漁ろうとしたが、すでに廃刊になっている作品も
多かった。その中で、この本に出会ったときは、
鳥肌が立った。

山城太助シリーズの1冊だが、
山城太助は、脇役だ。

佐々木譲さんの篆刻名、
”阿房庵”、
名付け親は、伴野朗さんだ。

米治郎と同じ、太平洋善後に興味のある方、
必読の1冊だ。
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by l-cedar | 2011-09-27 08:00 | 感想文【復習】

冬のアゼリア

冬のアゼリア 大正十年・裕仁皇太子拉致暗殺計画 
西木 正明
著 文春文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

2005年8月10日第1刷版を当時読んだモノの復習だ。
ここのところ、復習は第2次世界大戦前後のモノを
選んで復習している。

裕仁皇太子(昭和天皇)が、1921年(大正10年)
3月3日から9月3日まで、ヨーロッパを歴訪されたが、
その時、立ち寄った香港で暗殺計画があったとされる
西木正明さんお得意の裏歴史モノである。

物語の始まる冒頭に、昭和45年(1970年)の9月16日、
那須御用邸で記者団の質問に答えて
「ええ、印象に残る思い出はいろいろありますが、
ヨーロッパに旅したことです。若い時ヨーロッパに
旅したことが、もっとも印象に残っています」
とのお言葉が載せられている。

そして、物語は始まる。
排日運動は、中国、朝鮮で始まっていた。
1919年、朝鮮の排日運動過激派組織の
金元鳳は、パリへ暗殺者を派遣し、
第1次世界大戦終了後のパリ講和会議に
出席する西園寺公望侯爵の暗殺を企てるが、
失敗に終わる。
朝鮮の密陽警察署警部補の楠田刑事は、
朝鮮での排日運動を取り締まっていた。
物語は、この二人を微妙に絡ませながら、
間に、密陽の「アリラン亭」という食堂の
女将の金淑秀を入れて、進んでいく。

明治維新を成功させ、近代国家への道を進む
日本、ヨーロッパ諸国やアメリカに並ぶ一流国家へ
向かう帝国主義的な日本の被害者である
朝鮮の人たち、彼らは決して一枚岩ではなかった。
戦後の朝鮮半島が分裂したことでもわかるように
民主主義に走る者たちと、コミンテルン、共産主義に走る者たち、
そして、その間で、より過激に光復を目指す者たち。

裕仁皇太子がなぜ、ヨーロッパを歴訪することに
なったかの経緯も当時の重鎮たちの話を
重ねながら興味深く西木さんの筆致は冴える。
そして、裕仁皇太子は、ヨーロッパに旅立ち、
香港に立ち寄る。果たして、暗殺計画は・・・。
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by l-cedar | 2011-09-22 08:00 | 感想文【復習】

ルーズベルトの刺客

ルーズベルトの刺客 西木 正明 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

さて、これも復習である。
先日読んだ”ウェルカム トゥ パールハーバー”と同じ、
西木正明さんの作品である。時代背景はほぼ同じで、
太平洋戦争前夜の上海が舞台である。
西木正明さんらしく、フィクションとノンフィクションを
良い感じで調合して復習だが楽しく読めた。

マヌエラという上海で有名だった実在のダンサーを
一方の主人公に、また、和田忠七という日本陸軍の
情報将校をもう片方の主人公に立てて、中国で
日本がユダヤ人を使って、アメリカのルーズベルト
大統領の暗殺を企てていたのかを描いている。

冒頭は盧溝橋事件のやり取りから始まる。
西木さんは、盧溝橋事件をこんなスパイスのきいた
史実として語られていることとは違う始まり方を
描き、まず、読者を引き込んでいる。
さらに、松竹楽学部のダンサー、山田妙子が
実は最初は、水の江滝子だったというところも
本当なのかと思いたくなるような描き方で、
盧溝橋から松竹楽学部と全く違う展開になり、
この小説の主題と、西木さんはどう結びつけて
来るのかと、思いながら読み進めることができる。

一方の和田忠七、最初は野戦重砲隊の将校として
登場する。ある諍いから情報将校である影佐大佐の
目にとまり、情報将校として上海で地方人(軍隊用語で
民間人のこと)に扮して、活動を始める。
この辺から、読者の興味は、和田と山田がいつどのように
交差してくるのかへの興味をかきたてていく。

当時の上海には、ナチスドイツの迫害から逃れるために
多くのユダヤ人がいたようだ。それを日本は、満州の一部を
ユダヤ人の為にとニンジンをぶら下げて、利用したようだ。
そして、この計画にもユダヤ人は利用される。

非常に興味深い題材で、こういうことが本当にあったのか、
なかったのか?西木正明さんらしい面白い小説だった。
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by l-cedar | 2011-09-15 08:00 | 感想文【復習】

疾駆する夢

疾駆する夢(上)  佐々木 譲 著 小学館文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

池井戸潤さんが直木賞を取った「下町ロケット」が
すごい人気のようである。NHKの朝の連ドラ、
「おひさま」も人気である。両方とも、今の
日本に元気を与える話として注目されている。
佐々木譲さんのこの「疾駆する夢」、
この小説も同じように元気を与えてくれる小説だ。

ここのところ、復習が多くなってきているが、
米治郎、これを最初に読んだのは、文庫化されてすぐなので、
2006年7月頃だったので、5年前である。
非常に興味深く読んで、当時は、佐々木譲さんのご本人の
ブログに感想を書くと、ご本人からレスがいただけて
悦に浸っていた記憶がある。

戦後、日本が復興から立ち上がっていくのを
多門自動車という架空メーカーを通して、
自動車産業の創業から現代までを
多門大作という創業者が企業家として、
どう戦っていったかを描く壮大な話である。
日本の自動車産業がくぐってきた
荒廃の中での創業期、そして通産省との闘い、
輸出への思い、マスキー法との死闘、
対米問題など、自動車会社として
考えられるすべての事が次々に起こり、
読んでいて非常に楽しい。その中でも、
多門自動車が、4輪車を作り始めてすぐの頃、
佐々木譲さんは何と、多門自動車を
ルマン24時間レースに参戦させる。
そのくだりは一番楽しく読めた。
また、次第に大きくなっていく中での
多門大作の仲間や家族との葛藤が
人間ドラマとしても非常に興味深く読むことができる。

NHKあたりにドラマ化して欲しい作品だ。
下町ロケットを読まない天の邪鬼さんに
おススメの一冊、上下巻なので二冊である。
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by l-cedar | 2011-09-13 08:00 | 感想文【復習】

勇士は還らず

勇士は還らず  佐々木 譲 著 文春(朝日文芸)文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆

正確に言うと、読んだのは、先日発売された文春文庫編ではなく、
朝日文芸文庫編である。当初、朝日文芸文庫から出たが、
文春文庫から再販された。それをきっかけにして、復習してみた。
この朝日文芸文庫編を読んだのは、1997年11月頃であり、
もうかれこれ14年程前で、今回再度読了したが、
全くストーリーを忘れていた。
当時、まだこのブログを始めていなかった。

1969年8月、ベトナム戦争中の南ベトナムのサイゴンで、
日本人がホテルで爆死した。
1993年アメリカのサンディエゴで日本人が射殺された。

1966年4月、札幌羊が丘高校の入学式後の運動部の
オリエンテーション、応援団の「正座しろ」との理不尽な
指示に従わなかった6人の1年生がいた。
杉本浩介、平松武夫、藤森和也、安西登志子、
辻日出彦、染谷祐三だった。
そして、上級生から身を守るために6人の連帯が生まれた。
その繋がりは、高校を卒業しても続いた。

ベトナムで爆死した日本人とともにいて、
その直後、姿を消した日本人がいた。
藤森和也だった。
サンディエゴで、射殺されたのは染谷祐三で
祐三は登志子の夫だった。2人の間には、
娘がいたが、彼女の実の父は和也であり、
祐三はそれを承知で登志子と結婚していた。
登志子、浩介、平松、日出彦は、すぐに
サンディエゴに飛び立った。
さて、祐三の射殺事件の背後には、
69年のサイゴンの爆死事件が・・・。

再読であるが、先にも述べたとおり
内容は全く覚えていなかったので、すごく面白かった。
佐々木譲さんのストーリーの組立て方のうまさを
あらためて思いいたってしまった。
特に、サイゴンで消えた日本人と爆死した日本人、
消えた方は本当に和也なのか?
それを最後まで追い続けていくわけだが、
その中に、6人のつながりを描き、
青春群像を散りばめ、サイゴンの事件の背景に
あるものを散りばめていき、どんどん
読んでいくことができる。

非常に佐々木譲さんらしい小説だった。
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by l-cedar | 2011-09-06 08:00 | 感想文【復習】

ネプチューンの迷宮

「ネプチューンの迷宮 佐々木 譲 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

この「ネプチューンの迷宮」がポプラ文庫から再刊された。
米治郎は、最初に出た新潮文庫の初刊を読んでいた。
そして、その復習を兼ねて読んだ。
10年くらい前に読んだモノの復習、佐々木譲さんには
悪いが、内容を全く覚えていなかった。
だから、始めて読む本と同様に楽しめた。
面白かった、さすが、佐々木譲さんだとあらためて思った。
まず、文章が読みやすい。作家はみんなプロなのだから、
読みやすいと、突っ込みを入れられそうだが、侮るなかれ、
これは、佐々木譲さんの文章の素晴らしさだと思う。
ここで何度も言っているが、佐々木譲さんの文章は、
「スゥー」と、頭に入ってくる文章なのである。
この「スゥー」と入ってくる文章を書ける人は少ない。
例えば、何気なく読んでいて、1度でも読み返すところが
あり、読み返さないとその文節がわからない小説、
読み返さないと、前後がわからなくなる小説は、読みにくい。
例え、それを、作家がわざと仕組んでいても・・・。
読んでいて、知らないうちにちゃんと頭に入ってきている文章、
佐々木譲さんは、米治郎が知っている限り、
そういう作家さんの一人なのだ。

さて、前置きが長くなったが、この小説、太平洋の
ある架空の国で起こった話である。
そこへ、部下を失い、過去を清算できない
ダイバーがその国の政変に巻き込まれる。
その政変は、その太平洋の国、サンゴ礁でできた
国土が海に沈み、なくなることが確実で、
それでも沈まない部分に残るか、
それとも国土を捨てて、国民全員で他国に移住するか・・・。

昔、“日本沈没”という小説、そして映画があった。
この今思うこと・・・、この小説、”日本沈没”は、
国土が沈没することを描いているが、必ずしも
そうではないのではと、”この今”、思う。

そういうことを佐々木譲さんは、問いかけている気がした。
佐々木譲さんは、ツィッターで問うている。

この小説の架空の国の国民は、どちらを選ぶのか?
そして、”この国”は・・・?

日本、ちゃ、ちゃ、ちゃ。
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by l-cedar | 2011-03-16 20:34 | 感想文【復習】