高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
カレンダー

2011年 02月 22日 ( 1 )

片眼の猿

片眼の猿 道尾 秀介 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆★

『月と蟹』で第144回直木賞受賞した道尾秀介さん、
ずっと気にはなっていた作家さんだが、
読んで欲しそうではなかったので、今まで手が伸びなかった。
しかし、先日、この”片眼の猿”が読んで欲しそうだったので、
道尾秀介ワールドに初めて浸ることができた。

先ず、このストーリーの展開がすごい。
人間の先入観という勘違いを逆手の取ってのストーリー作り。
読者は、まんまと、乗せられてしまう。
どうなる、どうなると思いながら読み続け、
終わりに近づくにつれて、少しずつ、その先入観による
騙しが解き明かされていく。「えー、こういうこと!」
こういう展開は、全く予想できなかった。
ここまで、騙されての爽快感。

主人公、三梨幸一郎は、盗聴専門の探偵。
彼は、他人と違うとんでもない容姿をしている・・・らしい。
ある日、若い二人の男の会話を聞いている。
「どうして犬は人間の数万倍も鼻が利くか、知っているか?」
 ~ 中略 ~
「犬はな、鼻が大きいんだ。犬ってのは、顔の半分が鼻なんだよ」
これで、読者は、まず、先入観によって、作者によるある種の
最初の騙しにかかってしまう。

最初から中盤までのドタバタ感で、軽い感じの話だと
思っていると、最後は、その数々の先入観が解き明かされ、
少し重たい感じになって、中には、
いやーな読了感を持つ人もいるかもしれない。
しかし、米治郎は、この先入観に騙された感じが
新鮮で良かった。

米治郎より若い作家さんで、読み易い人の一人に入れよう。
[PR]
by l-cedar | 2011-02-22 22:01 | 感想文