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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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マタメロン

あっ君は、外で遊ぶのが大好きな4歳の男の子、
あっ君の大好物は、果物、特にバナナが大好きだ。

ある日曜日、あっ君の家にお客さんが来た。
お父さんの大事なお客さんで、オオノさんだ。
応接間をそっと、あっ君はのぞいてみた。
ちょうど、オオノさんがお父さんに果物屋さんの包装紙の四角い箱を
渡すところだった。お父さんが言った。
「あっ君、ご挨拶はできるよね。」
「こんにちは、あっ君」
「こんにちは、あっ君です」
「これ、あっ君の好きな果物だよ、お母さんに切ってもらって食べてね」
後ろを見ると、お母さんがちょうど、お茶の支度をして、
応接間に入ってくるところだった。

お母さんがオオノさんにお茶を出して、あっ君と居間の方へ戻ってきた。
あっ君は、オオノさんが持ってきた果物屋さんの包装紙の
中身が気になって仕方がない。
「お母さん、オオノさんもお母さんに切ってもらってねって、言ってたよ」
「そうね、じゃ、お客さんと一緒にいただきましょうか」
「うん」
お母さんが、包装紙を解いて、箱を開けた。
中身は、緑色で、網の模様がついている丸い果物で、
あっ君は初めて見る果物だった。
「お母さん、これ、何ていう名前?」
「あっ君、これはね、メロンっていうのよ、すごく高いのよ、
オオノさん、奮発したね」
「うん、フンピャツしたね」

お母さんが、それを切ってくれた。
甘い香りが、あっ君の鼻を襲った。よだれが出そうだ。
お母さんがお皿に盛ってくれた。あっ君は待ちきれない。
「お母さん、食べていい?」
「あら、あちらで、オオノさんと食べないの?」
「うん、ここで食べる」
と、あっ君は、フォークで一切れずつに切ってあった一切れを口の中に入れた。
甘ーい、なんともいえないおいしさだ。
お母さんが、応接間から戻ってきた。
「お母さん、これ、何ていうんだっけ?」
「また、メロンのこと?」
「そうそう」

やがて、オオノさんが帰る時間になった。
あっ君も玄関まで見送りに出た。
「あっ君、また来るからね、今度はおみやげ何がいい?おもちゃかな?」
「うーーーーんと、うーーーんと何だっけ」
「ロボット?車?飛行機のおもちゃ?」

「マタメロン」

おあとがよろしいようで・・・。
by l-cedar | 2007-04-28 08:58 | 日々