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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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運命の人

運命の人(一))山崎 豊子 著 文春文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆★

こういう長編は、次から次へと読んでいけて、
1巻の次は2巻・・・、と次の本を探す心配がないので、
”読む本がないと死にそう症候群”には安心できる。
だが、4巻、あっという間に読んでしまった。
さらにたいへんなのは、こういう面白い本に
出逢ったときの次に読む本を探すことである・・・。

山崎豊子さんの小説は、必ず実在のモデルがいる。
その中で、有名なところでは、
『不毛地帯』、主人公の壱岐正は、伊藤忠商事の元会長瀬島龍三氏。
『沈まぬ太陽』、主人公の恩地元は、元日本航空の反会社側組合の
労働組合委員長、小倉寛太郎氏。

そして、・・・・・。

2009年9月、民主党が政権を取って、当時の岡田外務大臣が、
外務省の密約を、非核三原則の裏で結ばれた日米核持ち込み
密約問題 と朝鮮半島有事における作戦行動に関する密約に
加えて沖縄返還協定の密約も調査公表するよう
外務省・藪中三十二事務次官に指示と
いう報道を皆さんも記憶していると思う。

米治郎、常々思っていることがある。
日本人として、行かなければいけない場所がある。

富士山
伊勢神宮
沖縄
広島
長崎

米治郎、まだ、広島にしか行っていない。
富士山は5合目までは行った。頂上まで行かなくては行ったことにならない。
他は、全く行っていない。

さて、その沖縄。

薩摩に利用され、日本から何度見捨てられたのか・・・。
戦場になり、アメリカになり、日本に復帰してもアメリカ軍基地がある。
アメリカから本土復帰になっても、日本から見捨てられた。
さらに、今、民主党政権になっても、政治の道具。
前のポッポ首相の発言、沖縄の人たちの心は・・・、
アメリカと日本の間で、・・・。

”沖縄返還協定の密約”、それを主題とした小説である。
この密約が、最初に事件として、世間に出てきたのは、1971年。
世に言う”西山事件”である。
その事件を主人公、”西山太吉”氏。

この小説の主人公、”弓成亮太”は、もちろん、”西山太吉”氏のことだ。
この物語で、”毎朝新聞”は、実際は”毎日新聞”、
”旭日新聞”は”朝日新聞”、
そして、”弓成亮太”のライバル、
”読日新聞”の”山部一雄”はあのナベツネこと
”読売新聞”の”渡辺恒雄”氏である。
さらに、”佐橋首相”は”佐藤栄作”氏、
”福出武夫”は”福田赳夫”氏、
”田淵角造”は”田中角栄”氏、
”小平正良”は”大平正芳”氏。
これを踏まえて読んでいくと実に面白い。

”西山太吉”氏は”大平正芳”氏の番記者だった。
第1巻ではその生々しい話が、どんどん出てくる。
政治家の陰で、新聞記者が動いている場面・・・、
今、ナベツネが政治の陰で動いているという噂。
こういう話を読むと、すごくわかる。

ずっと、不思議だったことがある。
日本の三大新聞は、
ずっと、”読売”、”朝日”、”毎日”だった。
米治郎の母方の祖父は毎日新聞に勤めていた。
だから、良く覚えている。
しかし、いつの頃からか、日本の三大新聞は、
”読売”、”朝日”、”日経”に代わった。
そう、”毎日”が”日経”に代わったのだ。
これを読んでその理由がわかった。
毎日はこの”西山事件”で決定的に部数を減らした。
そのことが良くわかった。
※最近は毎日が挽回してきていて、
三大新聞は、”読売”、”朝日”、”毎日。


政治部の記者である弓成記者は、沖縄返還の為に、
日本がアメリカと密約を結んだことを 出入りしていた
外務省でつかんだ。それは、外務省高官の秘書をしていた
女性を通じてだった。それが、佐橋首相の逆鱗に触れた。
当時の佐藤首相の退陣会見で有名な「新聞記者は出ていってくれ」
との発言もこれに端を発している。

米治郎、西山事件や、こういう佐藤首相の発言を
リアルタイムで見ていたが、当時は中学から高校くらい。
恥ずかしながら、ニュースという番組に全く興味がなく、
新聞もテレビ欄以外は読んだことはなかったので、
当時は知らなかった。

これを読んで、当時のパズルが繋がった。
密約をした当時の政治家たち・・・、
だが、少なくとも今よりはマシなのでは・・・。

また、ここでも・・・、

にっぽん、ちゃ、ちゃ、ちゃ。
by l-cedar | 2011-03-05 16:16 | 感想文