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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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ゆりかごで眠れ

「ゆりかごで眠れ(上・下) 垣根涼介 著 中公文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

これはすごく面白かった。”☆☆”か、”☆☆☆”か、すごく迷った。
垣根涼介さん得意の南米の日系2世ものだ。
は、米治郎が安心して読める作家の一人であるが、
その安心して読める作家の中では、唯一の若手である。
彼の文章は、若い作家に多い、意味が通じにくい表現が全くない、
これがすごく安心して読め、先へ先へと、どんどん読める。
また、物語の展開にスピード感があり、だらけてしまったり、
飽きてしまうという展開は全くない。

前半の舞台は、南米コロンビア、主人公”小林力”は、幼い頃、
突然、農村を襲ったゲリラに日本からの移民で農民だった両親を殺され、
コロンビア人の女性に育てられる。
そして、大人になった彼、”リキ・小林・ガルシア”は麻薬シンジケートの
ボスになっていた。
彼の信念は、絶対に子分を見捨てないことだった。後半の舞台は、日本、
彼は、コロンビアで、浮浪児だった少女”カーサ”を引き取って育てているが、
彼女を連れて、日本へやってくる。その目的は、同業シンジケートの裏切りに
よって、日本の警察に捕まってしまった仲間の奪還だった。

「愛は十倍に、憎悪は百倍にして返せ」
これは、この中でよく出てくる言葉だが、
犯罪小説のような趣だが、台詞の言葉の意味が深い。

ここ何冊か読んでいる中で、オススメの一冊である。
by l-cedar | 2009-06-06 22:30 | 感想文