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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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異端の大儀

「異端の大儀(上・下) 楡周平 著 新潮文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆

☆☆☆にしたかったが、”☆☆☆”の安売りはやめたので、”☆☆”である。
楡周平さんは初めて読んだが、読みやすい文章を書く人、ということでは、
米治郎としての採点は合格である(偉そう)。
楡周平さんは経済小説の分野で注目されている作家だそうであるが、
先日の関西出張の折、新幹線の京都駅で、ちょうど読んでいる本が
名古屋あたりで読み終わりそうだったので、”読む本がなくなると
死にそう症候群”の米治郎、新幹線京都駅構内の書店で、次に読む本を物色中、
たまたま、新刊文庫として、書店の店頭に並んでおり、
書店で手に取り、中身を少し見て、これは面白そうだという自分の直感を
信じて、そのまま買ったら、大正解だった。

東洋電機の高見龍平、父親が商社にいたお陰でアメリカで育って、
アメリカの大学を卒業したが、日本の東洋電機に就職、
社の留学制度を使って、シカゴ大学でMBAを取得して、
出世街道に乗った、半導体事業部で、シリコンバレーに、
しかし、半導体の下落から、シリコンバレーからの
撤退を余儀なくされ、日本へ帰ってくる。
東洋電機は、世界的な大手企業にもかかわらず、創業者一族が牛耳る
同族会社、その一族に連ねる湯下武朗から目をかけられていた。
しかし、彼の不倫をとがめたことから、恨みを買い、
やがて、取締役人事部長湯下のいじめ人事が始まる。

後ろの解説によると、”東洋電機”は、”三洋電機”、そして、後半、
高見が転職する会社、”カイザー”は”フィリップス”、と、
経済小説ながら、高見(善)が湯下(悪)からの仕打ちに、正攻法で
果敢に挑戦していく姿は、勧善懲悪のストーリーで、冒険小説を
読んでいるようである。それにも増して、随所随所に出てくる
仕事でのやり取りは、サラ公として、読み応えがある。

下巻で、東洋電機が経営的にやばくなっていく過程、
それをどういう方法で立ち直らせるか、話の本筋は、
当然、ずいぶん前の話だが、それは、全く、意識させない。

サラ公には、ぜひ読んでもらいたい本である。
by l-cedar | 2009-05-16 21:13 | 感想文