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高田米治郎が”日々”の出来事や読んだ本について感想文を書きます。


by l-cedar
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天使と悪魔(ANGELS AND DEMONS)

「天使と悪魔(原題:ANGELS AND DEMONS) ダン・ブラウン著
 越前敏弥訳 (上・中・下) 角川文庫」を読んだ。

米治郎の推薦度 ☆☆☆

これ、”☆☆☆”にするか、”☆☆”にするか迷った。”ダビンチ・コード”の
ダン・ブラウン”の著作でもあり、”ダビンチ・コード”に続いて、
映画化され、日本では、5月に公開されるので、
”☆☆”は当然なのだが、”米治郎的”にどうか?
と、いうことで迷ったが、”出張の移動での眠さに打ち勝ってでも
読み続ける”ほど次の展開へと、次の展開へと、読みたいと思ったので、
”☆☆☆”にした。
だから、決して”☆☆☆”の安売りでないことをご理解いただきたい。

ウィキペディアによると、”ダビンチ・コード”の方が先に映画化されたが、
この”天使と悪魔”の方がダン・ブラウンの著作としては先である。
この話のテーマは”宗教と科学の対立”、ガリレオがそれまでの天動説を
覆す地動説を唱え、カトリック教会から迫害されていたことが
この話の原点である。

あらすじは、こちらを読んでいただくとして、この話の展開が
壮大であり、”ダビンチ・コード”と同様、小説の題材として、
”カトリックをここまで掘り下げてしまって良いの?”というくらい、
ヴァチカンの奥深くの歴史、しきたりや逸話にまで
及んでいてそれを読んでいくだけでも非常に興味深く読めた。

ここで、ある聖職者(この話の重要人物なので、”ある”にした)が、
ある信者から、神について問われたときの返答が、非常の心に残る。
人間は愚かな失敗をする。飢饉、戦争、病気。
それを神はわかっている。しかし、それを止めはしない。
なぜか?

「8歳の息子さんがいるとして想像してごらんなさい、
息子さんを慈しみますか?」
「もちろんです」
「スケートボードに乗るのを許しますか?」
「許可すると思います。ただし、気をつけるように釘は刺すでしょう」
「すると、あなたはその子の親として、役立ちそうな大まかな助言を
与えたあとは、子供の自由にさせてみずから失敗をさせるわけですね」
「後ろに付きまとって過保護に育てたりはしませんよ」
「けれど、もしその子が転んで膝をすりむいたら?」
「それを機に、本人がもっと気をつけるようになるでしょう」

「つまり、~~~、愛すればこそ、子供に体験から学ばせることを
”選ぶ”わけですね」
「当然ですよ。苦痛は成長の一部です。わたしたちはそうやって学びます」

そして、上巻、中巻、下巻、すべての圧巻は、下巻のはじめの頃、
その聖職者が、宗教とは?科学とは?
そして、人類の過ち、宗教と科学の共存について、とうとうと語るところだ。

これだけではなく、心に残る言葉があちこちに出てくる。

読者に、犯人はこいつでは?と、臭わせて、
下巻の後半で、そのどんでん返しがあり、
さらに最後で、さらにすごいどんでん返しがある。
この展開は、まさに”☆☆☆”を与えるに値するだった。
本当に思いもよらぬ展開だった。

ぜひ、5月の映画公開の前に読んでほしい。
by l-cedar | 2009-04-05 05:52 | 感想文